Hairspray
おデブでポジティブな女の子がヒロインのミュージカル・コメディ映画。元々はジョン・ウォーターズっていう変態兼カルト映画監督の映画がブロードウェイでミュージカル化されたものの、再映画化らしい。ウォーターズ版のヘアスプレーは未見*1だけれど、ウォーターズらしい悪趣味な変人たちへの愛とボルチモアへの郷土愛に溢れた作品だったらしい。
本作では、変人たちへの愛やボルチモア愛は両方とも控え目*2で、代わりに自由と平等と家族愛という普遍的なアメリカ映画のテーマが強調されていて、人種や体型への差別、特に人種差別はかなりストレートにはっきりと映画のメインテーマに添えられている。だからかもしれないけれど、物語の中心となる主人公のトレーシーは中盤以降は「正しいこと」を体現するために完全無欠のヒロインっぷりを発揮するので、いまいち人間味がなくキャラクターとしての魅力がパワーダウンする印象。
その代わりにキャラの魅力全開なのが、トレーシーのママことジョン・トラボルタ*3と、トレイシーのパパことクリストファー・ウォーケン*4の個性強すぎな二人で、映画の中盤の二人っきりでのラブラブミュージカルシーン*5は超強烈(5歳以下の子供ならトラウマになるくらい))で映画全体を通して一番印象に残っているのがこのシーンだったりする。特にトラボルタは物語の要所要所で大活躍して、クライマックスのシーンでも一番おいしい所をさらって行くので、名実ともにこの映画はトラボルタの映画だと言える感じ。
もう一人、キャラクターの魅力全開なのが、ライバルの意地悪なママ役のミシェル・ファイファーさんなんだけれど、こちらも見事に憎まれ役を好演してます。主人公のライバルのはずの娘が全然目立たないくらい、目立ちまくり&キャラ立ちまくり。つーか、1958年生まれらしいから、50近いのか、何だか色んな意味で「女は魔物」の格言を体現しちゃってる気がする。ファイファーって魔法みたいな名前は伊達じゃない。