Watchmen

adf2009-04-05


アメコミ史にその名を残す傑作コミックの映画化作品にして、まぎれもない大傑作!本作の監督、ザック・スナイダーさんは前作の『300』と同様に原作のコミックをそのまま絵コンテとして使う手法により、現実にヒーローが存在したら歴史はどうなるのかを綿密な情報量と圧倒的なディテールでリアル*1に描ききった原作の世界をそれこそ1コマ/カット単位で完全に再現*2することに成功していて、その再現性の見事さは原作に対して何の思い入れもない僕のような人間も感銘するくらい。

もちろん本作は再現性のみが素晴らしい訳ではなく、強くシンボリックなメッセージや魅力的なキャラクターや設定といったものは原作の力だと言えるけれど、それをスタイリッシュでありながらアクが強く個性的に描くビジュアル*3もかなりグッときた。特にオープニングクレジットでミニッツメンの活躍と衰退を語るところは完璧で、ここ数年の映画の中でもベストなオープニングクレジット*4だった。

また、ロールシャッハは物語で語られる魅力的な内面とビジュアルが見事に一致した素晴らしいキャラクターデザインに成功していて、『ダークナイト』のジョーカーに匹敵するぐらいのアクションフィギアが欲しいキャラクター*5となっている。その他にもコメディアンやブルーマンことDR.マンハッタンの回想シーンの映像演出や、コスチュームヒーロー同士のラブシーン*6とかも超良いシーン。

あとシルク・スペクターさん(娘の方)の男の趣味は特殊すぎると思った。元カレが全身青い全知全能の全裸野郎で、今カレがコスチューム着て暴れないと色々な面でテンションの上がらない変態さんなのが凄すぎる。まあ本人も同じ性癖っぽいので、ある意味似合いのカップル。若い頃はコメディアンに言いよられて満更でもない感じだったり、ほとんど神に近い存在であるマンハッタンさんをへこませて世界を危機にさらした張本人なのに、最後には同じ性癖でしかもお金持ちの彼氏をちゃっかりゲットしてハッピーになる彼女は真の最強キャラ。ビッチ最強説。

*1:フィクションとしてのリアルさ。説得力といっても良い

*2:変更点も多くあるようだけれど

*3:前作の『300』同様、どのカットのどの瞬間で一時停止したとしても、まるで絵画のような画(ビジュアル)の力は今作でも健在

*4:今年のベストオープニングクレジット賞をあげたい。時点は『ベンジャミンバトン』

*5:僕ランキング

*6:スローモーションを多用していて妙に尺が長い