Harry Potter and the Deathly Hallows PART1

adf2010-12-19

言わずと知れた人気シリーズの最新作にして、二部構成に別れたシリーズ完結作の前編。本シリーズの魅力の一つは『ごっこ遊び』のそれであり、ハリー、ハーマイオニー、ロンと一緒に魔法学校の生徒として作品世界を楽しむ*1ことができる点にある。

ヴォルデモート卿復活後の作品である前々作や前作は、物語がシリアスに寄りすぎたことにより、ごっこ遊びの魅力が食い足りなくて、シリーズのもう一つの魅力であるハリー達の成長&青春ドラマも、尺の問題からか学園ドラマパートとシリアスパートとの繋がりが薄くちぐはぐで、個人的にはあまり楽しめなかった*2。だから本作に対する事前の期待値は正直低かったのだけれど、思った以上に楽しく観れた。

これは本シリーズが7作品を越える長編シリーズであるため、ハリー達主要メンバーの成長*3をリアルタイムで追ってきたシリーズの観客にとって、ハリー達いつものキャラクターがシリアスな逃亡劇を見せたり、ディストピアでスパイ作戦を決行したり、ロード・オブ・ザ・リングス風な封印の旅に出たり、ソープオペラ的な展開に陥ったりする姿を見る楽しみだったりするのではないかと思う。ごっこ遊びのキャラクターのごっこ遊びを見る楽しみ的なメタ構造。流石にキャリアが長いこともあり、ハリー達主要キャストはそれぞれのキャラクターを完璧に自分のものにしていて、観客の僕の親戚のおじさん気分*4を盛り上げてくれるっていうのも大きい。

主要キャスト以外だと死喰い人のベラトリックスを演じたヘレナ・ボナム=カーターがリアル魔女な大活躍。本作が前編で、おそらく後編で対決するヴォルデモート卿やスネイプ先生といった主要悪役の出番が少ないこともあって、クレイジーで子供には多分怖すぎる彼女の演技が目立っていた。

フリークスへの愛情*5を隠さないティム・バートンだから彼女を選んだのか、彼女がティムの影響を受けたのかそこは定かではないけれど、この役とか赤の女王とかサディスティックなフリークス役が似合いすぎ!

*1:ディズニーランド的な楽しみ方であると言え、だからこそフロリダにハリーポッタのテーマパークが作られたのは全く自然な流れであると言える

*2:それまでの単なる魔法世界での大冒険に成長&青春ドラマ成分がプラスされ始めた「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」が個人的なシリーズベスト作品

*3:キャラクターの成長だけでなく、演じる役者の加齢による肉体的な成長や、子役から一人前の若手俳優へといった演者としての成長も含む

*4:「あら、大きくなったねー」

*5:バットマン・リターンズ