TRANSFORMERS

adf2007-08-05


この夏公開の映画の中ではハリウッド超大作!っていう表現が最もぴったりな一本。80年代に少年時代を過ごしたものの一人として、もちろんアニメも見たし、オモチャで遊んだこともあるけど、実はそれほどこのキャラクターに対する思い入れは強くなかったりもする。でも、この映画は大変楽しく観れました。冴えない僕の愛車がロボットに変形して、なんだかんだで学校で一番人気のあの女の子が僕といい仲に!みたいな中2男子の夜寝る前の妄想をそのまま映画にしちゃっている*1あたり素晴らしい。

善と悪のロボットとアメリカ軍との激しい戦闘以外の、この映画のもう一つの主軸である、冴えないナードな少年の甘酸っぱくて、青春真っ盛りな冒険部分も、実に丁寧に描かれていてぐっとくる。アメリカのティーンにとって、初めて自分の車を持つことの意味とその重要性*2とか、学校の人気者の女子*3をナードで冴えない僕が守る!みたいな記号的なあれが効果的に散りばめられていて、ティーンエイジャーの男子とかかつてティーンエイジャー男子だった観客は感情移入せざる得ない。

本作は製作総指揮スピルバーグ、監督マイケル・ベイの体制で作られているのだけれど、スピルバーグが自らが観たい映像を作り出すことを目的として映画を撮っている*4のに対して、マイケル・ベイは観客の観たいシーンや映像を時にサービス過剰ってぐらい映画に盛り込むことに命をかけている感じ。

色んなブログとか映画の感想でも書かれていたけど、「ハッピータイム」はすごいインパクト。本作で一番記憶に残った言葉が、この言葉っだったのかも。つーか、それはどうなんだろう、それでいいのかマイケル・ベイ*5

*1:しかも極めて真面目に映像化

*2:子供(キッズ)から青年(ティーンエイジャー)への成長のための通過儀礼。少年ジャンプからヤングジャンプへみたいな、ちょっと違うか。車がないとどこへも行けないアメリカでは自分の車を得てから行動範囲が飛躍的に広がり、親の助けなしで何でもできるようになる。文字通り世界が広がり、自立するためのきっかけなのです。

*3:金髪碧眼のボインちゃんみたいな、いわゆるブロンドちゃんみたいなのではく、黒髪で日焼けしたスレンダーな女の子がこの位置にいるあたり、アメリカの志向の変化が見てとれるのかも

*4:ジョーズのサメ大暴れのシーンやジュラシックパークで初めて恐竜が姿を現すシーンで一番興奮していたのは他の誰でもなくスピルバーグ本人だったのではって気がする

*5:僕はそれでいいと思うけど、むしろそこが良い