Be Kind Rewind

adf2008-10-12


ミシェル・ゴンドリー監督の新作にして、今年観た映画の中でも屈指の超傑作!

DVDを持っていない、お世辞にも裕福とは言えないご近所さんに愛される町のレンタルビデオ屋さん。その店の全てのビデオテープの中身が消えてしまい、店員のモス・デフと店の常連のジャック・ブラックの二人がビデオカメラ片手に即興で映画をリメイクしちゃうというあらすじから、マニアックな小ネタやオマージュ満載のコアな映画マニア向け映画を想像しがちだけれど、リメイクの元ネタが『ゴーストバスターズ』とか『ラッシュアワー2』とか『ロボコップ』等の誰でも知っている日曜洋画劇場的な映画ばかりなので、僕のようなミーハー映画ファンが観ても十分楽しい。

モス・デフジャック・ブラックは間抜けなダメ人間なのにどこか憎めない、バカボンのパパみたいな主人公をキュートに演じていて、映画の前半はこの二人のコントみたいなやり取りや、これまた変わり者ばかりのご近所さんとの絡みが楽しくて、笑いっぱなしでした。ジャック・ブラックさん演じる「愛すべき近所のバカ」は流石に名人級*1

中盤にかけてはダンボールやアルミホイルを使ったミシェル・ゴンドリー監督らしい、DIY感溢れる演出や美術で再現されるハリウッド映画の映像的な魅力にしびれる。ミシェルさんには世界はこんな風にキュートに見えているのかしらん。

後半は作品のテーマであるコミュニティーに対する愛情*2が溢れていて、特にエンディングはほとんど反則なぐらい感動的で素晴らしくて、凄くハッピー*3に映画は終わります。

それにしてもモス・デフさんの「良いやつ」っぷりはほとんど異常。深夜のファミレスでドリンクバーだけ注文して、くだらなくて何の役には立たない無駄話をずっとしていたい感じ。今ハリウッドで一番友達にしたい人材。

*1:志村けんさんのバカ殿様みたいな

*2:スパイク・リーのニューヨークに対する愛情や、ジョン・ウォーターズボルチモアに対するそれのように、特定の都市や地域に対する愛情ではなく、ご近所さんがいて行きつけのお店があってというコミュニティーという存在自体と時代そのものに対する愛情

*3:いわゆる根っからの悪人は一人も存在しなくて、ピープルに対する監督のポジティブな眼差しは楽天主義というより人間賛歌に近い