Anvil! The Story of Anvil
50代の売れないヘヴィメタル・バンド、アンヴィルの夢を追い続ける姿を描いたドキュメンタリーで、『レスラー』と並ぶ負け犬映画の大傑作。限りなく現実に近い空気を持ったドキュメンタリーだった『レスラー』に対して、本作はドキュメンタリーでありながら凄くドラマチックでクライマックスのシーン*1の美しさと幸福さはファンタジーにすら近くもある。
単調な普段の仕事、散々なヨーロッパツアー、老化と明らかな肉体の衰え、金銭問題とか色々な問題を抱えつつも、リップスとロブの二人をはじめとする登場人物は誰もが凄く幸せそうで、それは家族愛とか友情とかそして何よりもバンド愛が映画に溢れているからだと思う。
特に中盤の喧嘩のシーンで描かれるリップスとロブの関係性は、二人の歴史と関係性のディープさが友情を超え、長年連れ添った老夫婦のようでさえもあって、グッときた*2。
クライマックスの日本のシーンは、メタル界隈での日本好感度が上がりすぎると逆に心配になった。メタルファンタジーランドジャパン!