Alice in Wonderland

adf2010-05-08


名前は誰もが知っているのに意外と内容をはっきり知っている人の少ない『不思議の国のアリス』、『鏡の国のアリス』をティム・バートン監督が実写映画化。ディズニー映画!

バートン監督といえば、独特の(広い意味での)デザインが特徴なんだけど、諸々の制約のためか、彼自身の作風の変化のためか、本作における彼のカラーは抑えめ*1であると感じた。特にキャラクター造形の部分ではバートンの『不思議の国のアリス』で、僕が期待したものとは少し違ったのが残念。

ストーリーの構造上、仕方ない部分ではあるかもしれないけど、アリスの味方側のキャラクター達が割と好意的に描かれているため、原作にも含まれる狂気の部分が無くなってしまっていて、特にジョニー・デップ演じるマッドハッターが、狂っているというよりは情緒不安定な感じに留まっていて、キャラクターの魅力が不足しちゃっている。

ただヘレナ・ボナム=カーター演じる赤の女王と、アン・ハサウェイ演じる白の女王の姉妹はすごく魅力的。事あるごとに“Off with his head !”と叫ぶチビで醜い赤の女王は、バートン監督のシグネチャーでもある醜いものへの過剰なシンパシー炸裂で、流石。でも一見、美しく無垢な存在として描かれている白の女王こそ、狂気や残虐性といった黒い部分が秘められているのが垣間見えるキャラクター造形で、アン・ハサウェイ自身が持つ変な魅力と相まって素晴らしかった。

あとアリス役のミア・ワシコウスカは美形なんだけど、肝心の巨大化&縮小化の描写にフェチ的な魅力が乏しかったので、原作ファンに多かったであろうそっち方面趣味の人には今ひとつなんじゃないかとも思った。いや、僕はそういう癖ないけど。

*1:独特の色彩感覚は発揮されていたようだけど、諸事情により3D環境で観たので、あんまり色の印象が強くなかった。ちょっと後悔