Brothers

adf2010-06-04


デンマーク映画ある愛の風景』(2004年公開)のリメイク作で、トビー・マグワイアジェイク・ギレンホールナタリー・ポートマンの演技力に定評のある30代ハリウッド俳優が出演。事前の宣伝やトレイラーから、戦争がテーマで、最近のハリウッドにおいてブームな「アフガンとイラクの件はマジすみませんでした。」映画と想像していたけど、ある家族が失ってしまった大切なものに対してどのように向き合っていくかを描いたヒューマンドラマだった。

事前に僕が最も期待していた通り、本作で最も魅力的なのは役者陣の演技のレベルの高さと迫力だ。「あなたの親愛なるご近所さん」ことトビー・マグワイアがどちらかというとそのイメージに近い、冷静で穏やかで家族思いの良きマリーン、良き家庭人の姿を物語の前半で演じていて、ある体験を経て変わってしまった、変わり果ててしまった後に彼が見せる文字通り鬼気迫る表情*1は、彼の演技力が如何にレベルが高いかを分かり易く現している。

トビーに比べ、分かり易い見せ場は少ないけれど、トラブルメーカーで家族の中で疎まれる存在だった彼が、喪失後の家族のため成長し、同時に兄の人生そのものに対して求め始める弟を演じるジェイク・ギレンホールは、そこに確かに存在する人間を感じられる演技を見せている。

ナタリー・ポートマンはややすれば本作のヒロインとしては非現実的に見えてしまいかねないほどの美貌ではあるけれど、二人の娘に向ける母親の顔や、夫に見せる愛情たっぷりの眼差し、風呂場のシーンで見せる未亡人*2特有の色気、ジェイクに見せるバッドガールな一面とか、彼女のキャラクターは魅力的でリアルに存在していて、その意味では本作で最も素晴らしい演技をしているのは彼女かもしれない。

あと色々なところで既に言及されていることではあるけれど、二人の娘、特にお姉ちゃんの方の演技がすごくて、雪遊び中に父親に見せるひきつった笑いとか、妹の誕生日会で見せる拗ねた表情や仕草、その後の気まずさ爆発の独白とか、グレートすぎる。誕生日会のシーンとか、ワースト参加したくない食事シーンに勝手に選びたい。

*1:内面、外見ともに

*2:『まだ』違うけど