Brooklyn's Finest
比較的地味なフィルモグラフィーを持つアントワーン・フークアの本気が垣間見える意欲作。邦題が『クロッシング』でややこしいけど、極めて全うで真面目な造りの佳作だった。
原題はブルックリンの警察官のことを現しており、善悪の間で揺れる三人の警察官の姿を同時進行で描く。罪と罰、懺悔と贖罪という極めてキリスト教的*1なものをテーマとしており、自己犠牲や復讐といったキリスト教外の価値観では英雄視される行動がもたらす結果と、懺悔と贖罪に身を捧げたものに訪れる結末との対比が興味深い。
またも、追い詰められた父親役のイーサン・ホーク、インテリギャングなドン・チードル*2、すっかりヨレヨレになっちゃったリチャード・ギア*3と、主演の三人はそれぞれ素晴らしい。この三人以外では、ウェズリー・スナイプスの長いムショ暮らしですっかり牙を抜かれてしまった感じもリアルで、脱税で本当にムショにぶち込まれそうな今となっては殆どドキュメンタリーだなって思った。
出所したら大人しくなったりせず、また元気にヴァンパイアとかをぶち殺して欲しいもんだ。