劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ

adf2011-04-14

SR サイタマノラッパー」の入江悠監督の最新作。今一番信頼できるロックンロールバンド、神聖かまってちゃんの名前を冠した本作は、プロ棋士を目指す女子高生、ショーパブダンサーのシングルマザー、神聖かまってちゃんのリアルマネージャーのツルギ氏、それぞれが主人公の別々のストーリーが、かまってちゃんのライブに向けて収束していくエモさ炸裂の群像劇。どのストーリーも凄くシンプルで、主人公達が抱える悩みや問題も、自分と周りの違いに戸惑ったり、恋愛だったり、進路だったり、シングルマザー、お金、引きこもり、ロックンロールVSセルアウトだったり、ありがちで普通だけれど(だからこそ)リアルでハードなものばかり。そんな現実的な問題を前に行き詰っちゃっている主人公達に向けて、入江監督は説教くさい台詞を並べたりしないし、かまってちゃんは『クソ』みたいな応援歌を歌ったりもしない。代わりにスクリーンに映し出されるのは、神聖かまってちゃんが、の子がロックンロールをかき鳴らすライブの光景だった。そこには明確な答えもメッセージも用意されていないけれど、最後の「ロックンロールは鳴り止まないっ」で俺の奥底から「でもやるんだよ!」が噴き出してきた、熱く溶けたマグマのように。

あと、プロ棋士を目指す女子高生の美知子を演じた二階堂ふみさんが素晴らしい。ハートブレイクして「あるてぃめっとレイザー!」を聴きながらチャリんこで爆走する場面は本作のベストシーン*1二階堂ふみに蹴り入れられたり罵倒されたりする青春が、俺には何故なかったんだろう。

*1:爺さんと将棋さしながら泣いちゃう場面も良いシーン。今、日本で一番悔し泣きの似合う女優だと思った。