The Kids Are All Right

adf2011-05-09

レズビアンカップルと(精子バンクの協力により生まれた)二人の子供の4人家族を通して、家族とは何かを描いた作品。

ブルーバレンタインの感想にも書いたけれど、ブルーバレンタイン鑑賞後の文字通りブルーになった気持ちをこの映画は蘇らせてくれた。しかしながら本作も、ポジティブな愛に溢れたハートウォーミングな作品というわけではなく、愛の冷めつつある夫婦(同性愛カップルだけど)の問題に加え、親離れしつつある年頃の子供達との問題を抱えていて、要素だけ並べてみれば寧ろブルーバレンタインよりも深刻な状態にあるとさえ言える。そんな状態にあるからか、自由に人生を謳歌*1するマーク・ラファロ演じる子供たちの生物学上の父親に、4人が惹かれていったのだと思う。しかし彼の存在が家族に危機をもたらす結果となった時、家族の誰もが彼を拒絶し自分達の家族を守ろうとする。それは多分、互いの弱いところも醜いところも嫌なところさえもさらけ出し合いながら、それでも家族としての長い間*2供に暮らしてきた歴史がそうさせているのだと思う。だから、ラストでレイザーが『両親』に伝える二人が分かれるべきではない理由は、紛れもない真実なのだろう。

主人公家族以外の登場人物は突き放した視点から驚くほど表層的に描かれていて、息子の愚かな友達や庭師のメキシカンおいちゃんはもちろん、娘の耳年増な友達やインド人のボーイフレンドや、生物学上の父親でさえも内面について深く言及されず、結末について何の説明もないままフェードアウトしていく。これは本作のテーマである家族に焦点を合わせるためでもあるけれど、むしろ本作をシットコム的に仕上げたかった製作者の意図が強いのではないかと思った。

*1:オーガニックなレストランを経営して、ワインとバイクと女性(ファックバディはヤヤ・ダコスタ!)を嗜む、中年男の夢みたいな生活

*2:子供が生まれて大学へ行くようになるぐらいまでの年月