探偵はBARにいる
北海道出身の大スター大泉洋を主人公の探偵に、探偵物語のあの人の遺伝子を持つ松田龍平をサイドキックに配し、北海道最大の歓楽街ススキノを舞台にダークでインモラルな昭和の東映ノワールを現代的なアプローチで蘇らせたいという作り手の明確な意思を感じる良作。しかも、その試みは見事に成功している。
映画の前半で繰り広げられる、類型的なハードボイルド探偵をいつもの2.7枚目風に演じる大泉洋とシニカルで浮世離れしているけれどやるときはやるキャラな松田龍平のコンビの軽妙な掛け合いは単純に楽しい。中盤から終盤にかけてストーリーはどんどん陰惨になり、リアルな痛みを伴うバイオレンスシーンが続くことで否応無く探偵コンビが血と死にまみれていくあたりは、まさに昭和の東映ノワールを彷彿とさせる*1。
主役コンビ以外でも、ノワールには欠かせないファムファタール役を担う小雪の存在感*2は流石だし、何といっても不気味な悪役を演じた高島弟が凶悪だった。変な髪形でゲップを連発しながら残酷なことをする彼の姿は、ヤマダ電機とかホテルのそれとはまるで別人のようだった。
あと雪に包まれた歓楽街の景色だけでそれと分かるススキノの街並み*3は映画の舞台として驚くほどピッタリで、この街を舞台にしたシリーズを末永く観たいと思えた。