Mission: Impossible – Ghost Protocol

adf2011-12-26

来年50歳の大台に乗ってしまうザ・ハリウッドスター、トム・クルーズさん。近頃はそのスター性よりも奇行や子煩悩ぶりばかりが話題に上り、出演する映画でもセルフパロディのような役柄かそうでなければ特殊メイクでハイテンションに振舞う飛び道具的な使われ方が目立っていたのだけれど、本作では久しぶりにカコウィイ我らがトムちんが戻ってきていて喜ばしい。

一作ごとに監督が交代し、それに伴い作風も大幅にリニューアルされる本シリーズは、新鮮味の代償に主人公であるイーサン・ハントのキャラクタがブレブレとなるデメリットを抱えていて、1作目で人妻に翻弄されるサスペンスドラマの主人公であったイーさんは、2作目ではジョン・ウーの手によってジャッキー・チェン張りの無敵化を遂げ、3作目では夫婦愛やチーム愛に目覚め、4作目の本作で遂に人間宣言をしてしまうのだった。

本作が初の実写映画への挑戦となるブラッド・バード監督は、イーさんを人間宣言させることによって、クールなトムちんを愛でる映画から、スパイ達がチームプレイで活躍するTVシリーズから続く本来のシリーズの姿へと戻すことに成功している。2のときは趣味でデスウィッシュなフリークライミングを楽しんでたトムちんもといイーさんは、今回は仲間のミスでビルに登らされる羽目になって普通に嫌な顔しちゃったり、単純に自らの失敗に苛立ったりして、決して全知全能ではないことが強調されている。だからこそ彼にはチームの仲間が必要で、007のチームプレイ版*1という本シリーズの新たなアイデンティティを確立させるに至っている。

もちろんチームの各メンバーが皆魅力的に描かれていることも重要であり、ここら辺はピクサー印クオリティーの演出の巧みさを改めて思い知らされた感じ。

クレムリン潜入ステージやドバイ・ミッションに比べるとクライマックスのインドでの場面は些か地味で、実は全体のバランスはそれ程良くなかったり、伏線を張って盛り上げた割にはジェレミー・レナーのキャラクタが単なるチームメンバー以上のものでなかったり*2っていう不満点も無きにしも非ず*3だけれど、全体としてはシリーズ最高傑作と言っても良いできだったと思う。

つーか、何気にサイモン・ペグが一番良い見せ場を与えられているオイシイ役どころだった。彼を主人公にしてスピンオフのTVシリーズを作る計画でもあるんじゃないかと思えるぐらい。それはそれで観たいけど。

*1:オープニングとか007リスペクトしまくり

*2:ジェイソン・ボーンシリーズの噂があるからかしらん

*3:最大の不満は、レア・セイドゥ演じる女殺し屋モローが早々に退場してしまったこと!