Hugo

adf2012-03-17

実写版カール爺さんことマーティン・スコセッシ監督がいつものバイオレンスを封印して手掛けたファミリー映画。事前の情報やトレイラーから冒険ファンタジーだと思い込んでいたのだけれど、1930年代のフランスという現実世界を舞台にした割とシリアス*1な作品だった。「映画」という娯楽が如何にファンタジックかがテーマなので、そういう意味ではファンタジー映画と呼べなくもないけれど。

邦題と反して主人公の少年、ヒューゴは発明しないし、さほど不思議なことが起こるわけでもない*2。不思議な発明をしたのはベン・キングズレー演じるジョルジュ・メリエス(実在の人物!)で、彼の最大の発明である映画を巡る物語こそが本作のテーマになっている。新しいテクノロジーでしかなかったモーションピクチャー(活動写真)が一人の天才の手によってエンターテイメントに昇華されていく物語を、3D(というテクノロジー)を映画(というエンターテイメント)に美しくマージして3D映画でしかできない表現で紡ぐ素晴らしさ。超作り込まれた本気の3D表現*3の数々は、3D映画楽しすぎっていうスコセッシ監督の心の声が聞こえるよう。

あと本作の中で一番オイシイ役をサシャ・バロン・コーエン*4が演じちゃっているのが一番の不思議だったのかもしれない。

*1:マンガはじめて物語みたいではある

*2:あえて言えばレトロキュート全開ファッショなイザベラ(クロエ・グレース・モレッツ!)と知り合って仲良くなっちゃうことが不思議なのかも

*3:スチームパンクなパリ駅の内部をぎゅんぎゅん動くカメラかっこ好い

*4:児童文学のキャラクタがそのまま実体化したみたいな圧倒的なヴィジュアルパワー。素敵!