War Horse

スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作！美しいサラブレッドが、イギリスの田舎と戦場で走るところを撮りたいっていうバーグさんの監督欲が炸裂した作品。ストーリーは少々ウェルメイドすぎるきらいがあるものの、空間の広がりと馬の躍動感はどこまでも素晴らしい。

人間側の視点から冷静に見ると、芸術的に美しいその姿で人々を魅了しながらも関わる人物を次々と死へ追いやるジョーイは妖馬*1のようなんだけれど、馬の視点から見ると友情と男気に溢れた少年漫画の主人公のような熱血漢だったりする。また嘗て主力兵器であった軍馬が近代化された戦場において兵器としての地位を失い単なる労働力となる本作で描かれる歴史的なターニングポイントも、馬側視点では全て生きる為に競い合って走り力の限り荷を引く本質は変わらないものに見えた。

ジャムおじさんと暮らす少女がおとぎ話から抜け出たかのような可憐さで、そりゃあ馬も無条件でなつくよなって思った。

*1:妖刀ならぬ